真実の瞬間 1

官僚とメディアの陰謀にはうんざりだ

中世のカトリック信仰においては、人間は死ぬと、天国と煉獄と地獄のどちらかに行くのだが、天国に行くのはごく少数の聖人君子のような人間であり、地獄に直行する極悪非道の人間もいるが、大多数の人間は、なにか悪いことをするし、かといって悪いことをしても根が善人だったりするわけで、天国でも地獄でもない煉獄に送られる。そこで煉獄の苦しみに耐えて、晴れて天国に召されることになる。ではどのくらい煉獄にいるのかというおと、平均的キリスト教徒の場合、1000年から2000年だという。50年生きて、その後、天国に召されるまで1000年も苦しみむのなら、死んだ方がましだが、もう死んでいる。

最近のメディア関係者(の全部ではないが、ほぼ全部の99パーセント)は死んだら地獄に直行してほしいし、万が一、煉獄に行くことがあっても、地球が滅びるまで煉獄で苦しんでほしい。そのくらい陰謀に無自覚だし、むしろ積極的に加担している。

田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言につづいて、いま、一川保夫防衛大臣の辞任問題が世間をにぎわしているが、同じことを飽きもせず繰り返すものだと思う。不適切発言のことではない。でっちあげの不適切発言と、それにともなう辞任騒動のことである。

最近では鉢呂経済産業大臣の辞任が記憶に新しいが、「死の町」発言のどこが悪いのかと疑問に思ったジャーナリストも多いようだし、私も問題発言ではないと思う。「放射能つけちゃうぞ」発言は、いまではなかったというのが真相のようだ。だったらなぜ鉢呂大臣は辞任に追い込まれたのかといえば、鉢呂前大臣は、就任直後から、脱原発発言を繰り返していたからである。ほとぼりが冷めたら再び原発事業を再開しようもくろむ悪魔の手先の原発マフィアどもが君臨する政府のなかにあって、脱原発発言をする鉢呂大臣は、むしろ気骨のある政治家であった。まただからこそ邪魔になって切られたというのが真相だろう。そんなことは、公開されている情報とか報道を見ているだけで猿でもわかることだ。

田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言にしても、公の場の発言ではないし、本人ですらよく覚えていないことで、ビデオとか録音テープはない。あればそれがメディアに流されるはずだ。非公式の発言だからメディアには流せないならば、そんな発言で解任されたらたまったものではない。しかし、問題は手続き論ではない。その不適切発言あるいは失言が、誰を利するものか、誰にとって不利なものかを考えれば、現在の騒ぎは狂っているとしか思われない。あるいは操作されているとしか思われない。

まず発言は二十八日夜那覇市内の居酒屋で行われた記者団との懇談会の席上でのこと。防衛省の田中聡沖縄防衛局長は、一川保夫防衛相が米軍普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古に新しい基地を造るための環境影響評価書を年内に提出すると断言しない理由を聞かれ、「(女性を)犯す前に『これから犯しますよ』と言いますか」と発言したとのこと。その場には沖縄県政を担当する県内外九社の記者が出席。記事にしないオフレコ発言だったが、地元紙の琉球新報が二十九日付朝刊一面トップで伝える。「公的立場の人物が人権感覚を著しく疑わせる蔑視発言をした。慎重に判断した結果、オフレコだったが、県民に知らせる公益性が勝ると考え報道した」(普久原均編集局次長)とのこと。

その場に記者が同席しなかった新聞社も、このことを報道しているが前局長は、発言を良く覚えておらず(鉢呂前大臣と同じケース)、「やる」と言ったと記憶していると語っている。「やる」というのは「レイプする」とも取れるのだが、「殺す」という意味にもなる。確かに領土を侵略することを「レイプする」というたとえで使うことがあるが、別に日本政府は沖縄を侵略するつもりはないだろう。自国の一部だから。たぶん沖縄県民の願いを踏みにじる、犠牲を強いるということで、「殺す」という意味ではなかったか。そちらのほうが話が通る。

ところが琉球新報が、これを「沖縄をレイプする」→「人権無視の超不適切発言」として糾弾することになった。そしてなにやら人権無視発言をしたことだけが問題となって局長が更迭された。問題は不適切発言だけとなってしまった。

これはおかしい。田中沖縄防衛局長が言わんとしているのは、日本政府は、是が非でも、米軍普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古に新しい基地を、住民の、あるいは県民の反対を押し切って作ろうとしているのであって、環境影響評価書も、政府寄りのものでしかない。沖縄を殺すことはもう決まっているのであって、そのことがわかる時期を先延ばしていているだけだ、ということであろう。

こういう発言をする人を、もしそのメディが沖縄の側にたち政府のやり方に反対するものだったら、守るというか重用しなければならない。政府の方針を批判する、もしくは結果的に批判的に語る人物は、政府にとって不利な人間であり、沖縄にとって有利な人間であるはずだ。オフレコ発言である。さらにもっといろいろな発言を聞きだせたはずだ。

琉球新報については何も知らないが、沖縄県民の公益性を考えるとかなんとか言いながら、実際には日本政府の手先、あるいはCIAの手先ではないかと疑いたくなる。まあ、そんなことはないとしたら、琉球新報は馬鹿新聞である。なぜなら結果的にやっていることは日本政府側に立つことであり、日本政府の味方しかしていないからだ。

田中沖縄防衛局長の発言は、日本政府にとっては、不利な発言であり、政府側の人間でありながら政府を批判する悪質な発言であって、日本政府にとって早く解任したいところだろう。しかし、彼の発言を重視して、そこにこそ真実が現れたとみなし、政府の隠された真実の声として、持ち上げる沖縄寄りのメディアがいたら、簡単に解任できなくなる。幸い琉球新報が、騒いだおかげで、不適切発言で解任しても文句は言われなくなった。政府にとっては、琉球新報さまさまである。

琉球新報にとっては、「やる」発言を、「殺す」ではなく「レイプする」と受け止めて問題にしたほうが、沖縄の男性県民のプライドを傷つけ、また沖縄を含む日本全国の女性からの猛烈な反発が予測できるため、「レイプする」にして、盛り上げようと思ったのであろう。タブロイド紙並みの、あるいは「カストリ雑誌」なみの扇動的戦略である。その結果が、「人権無視の不適切発言問題」で終わり、沖縄基地問題は、どうなったのかということになる。もっとも琉球新報はおっちょこちょいということではないだろう。琉球新報も含め、メディアを操作する黒幕、まあ官僚組織が背後にあることはみえみえなのだ。もう呆れ果てて死にそうだ。煉獄に行くのはいやだが。つづく